「そう言えば莉子は夏休みどうするんだ?行きたいところとかないのか?」

「とくにないかな」

素っ気なく答えると、両親は顔を見合わせた。

「海斗くんとは予定はないのか?」

「ないよ」

予定なんて作ることに意味はないし。

「一月もあるんだから、デートくらいするだろう」

家族ぐるみの付き合いをしてきたから、お父さんも海斗くんには彼氏としての抵抗みたいなものはない。

それでも、ここまで露骨に触れることは珍しかったから、わたしはなんだか違和感を感じていた。

「なんなら、海斗くんのところと旅行に行ってもいいんだぞ。ほら、昔は向こうと一緒にスキーとか行ってたじゃないか」

「突然どうしたの?」

「いや、その、海斗くんとは最近、どうなんだ?うまくいってるのか?」

そうか、とわたしは納得した。

両親はわたしの異変が海斗くんとの間になにかがあって気まずくなったからだと考えている。