「そうだな。姉さんから遊びに来いって言われてるんだよな」

海斗くんのお姉さんは超がつくくらいの名門大学に通っている。

とても優秀な人で、将来は研究者を目指している。わたしも直接会ったことは何度もある。

昔はよく一緒に遊んだし、かなりの仲良しだった。

気さくで話しやすいタイプの女性で、堅苦しい印象はまったくない。

「姉さんもああ見えて結構寂しがり屋だから、一人暮らしは耐えられないんだろうな」

「そうだね。勉強も忙しいだろうから、帰省というわけにもいかないのかもね」

海斗くんのお姉さんの優愛さんとは正月には会っているけど、そのときも勉強に忙しそうだった。

周りのレベルが高いから、少しでも気を抜くと置いていかれるというプレッシャーがあるみたい。

「莉子は夏休み、何か予定とかあるのか?」

「わたしは親の実家のほうに行くかも」

「それがいいかもな。何かと物騒だから、静かなところで休むのがベストかもしれないよな」