麗はまだ遠くには行っていなかった。

まっすぐに道を歩いていたので、すぐに見つけることができた。

「麗!」

信号待ちをしている麗に近づき、わたしは叫ぶように言った。

「莉子先輩?」

麗が振り向く。

「ねぇ、本当なの、離婚したって」

「え?」

「いいから、早く答えて!」

わたしは麗の両肩をつかんで、その体を揺さぶった。

「ちょ、ちょっと落ち着いてください」

「どうなの、ねぇ、どうなの!?」

麗は助けを求めるように視線を横にやった。

わたしは隣に立つ、お母さんらしき人に目を向けた。

「麗のお母さんですよね。教えてください、夫と別れたのかどうかを、いますぐ」

「あの、あなたは?」

「わたし、芹沢莉子っていいます。麗さんとはサッカー部のマネージャーを一緒にやってました」