「楠本の両親、離婚したかもしれないって言われてるんだよ」

「え、離婚?」

「後輩から聞いただけだけどね。まあ、芸能人じゃないから本人に確認するしかないんだろうけど」

麗からはそんな話、一度も聞いたことがない。

仮にそうだとしても、なかなか打ち明けることはできないのかも。

周囲からはお金持ちの娘だって見られているから……。

「あっ」

わたしは声を上げて立ち上がった。

「どうかしたの?」

それは、まずい。まずすぎる。

わたしの計画が全部崩れてしまう。

いや、待って。

まだそうだと決まったわけじゃない。

あぐでも来栖先輩の想像。麗の両親が離婚したと決まったわけじゃない。

「す、すいません、ちょっと麗に会ってきます」

本人に聞いてみないと。

わたしはそのままファミレスを出て、麗が立ち去った方へと走った。