「わー、すごいですね!」
岩野は無邪気に喜んだ。
その横で、安見がばったり倒れている。
「いや、なんで?」
大滝は危機感のない調子で言った。
「作業の前にオレと握手しないとこうなるんすよ。ま、ちょっとしたスタンガンくらいの威力なんでじきに目が覚めます」
「お前……」
「さーせん、なんかこの人めっちゃ嫌いだわーと思ったんで、つい」
特殊電機は笑いながら続けた。
「自分もトイレで停電食らったくせに必死こいて隠そうとまー頑張っちゃってね」
「は?」
大滝は目が点になった。明るくなったから、その間の抜けた表情ははっきりとわかる。
「そっちのお兄さんから妙に離れよう離れようとするし、その人の後で握手したがらねーって多分そういうことでしょ?」