祭りから帰ってくると俺たちには九郎の説教が待っていました。



全く九郎には困りものですね。
まぁ、朝と同じように適当にかわして明里さんを連れて逃げました。
九郎は後ろで叫んでいましたけど。



彼女と別れ、俺は部屋に戻った。
けれど考えるのは、彼女・明里さんのことばかり。
さっき男たちに、絡まれているのを助けた時、いくら助けるためとは言え彼女を"愛しい人"と嘘をつき、さらに抱きしめてしまった。



それでもかわらず俺に接してくれる明里さん。
それが俺には嬉しくて嬉しくて仕方なかった。



そんな時、俺は景時と九郎と杯を交わすことに。
景時が俺に聞いてきた。



「ねぇ、弁慶殿?」
「何です?」
「最近、明里ちゃんと仲良いよね?」



俺は景時の問いにむせてしまう。



「どうしたんだ、弁慶。むせて……」
「何でもありませんよ?でもどうしたんですか、急に」
「弁慶と明里ちゃんがあまりにも仲良くて……」
「仲が良いって俺と明里さんはそんな関係じゃないですよ」
「じゃあどう思っているんだい?」



景時にそう問われ、俺は正直に話した。



「俺は彼女を、……妹のように思ってますよ」
「妹のように、ね。弁慶殿、本人の前でもそう言える……?」
「えぇ、言えますよ」



俺は何も考えずにそう答えていた。
そして、明里さんとお祭りに行ってから俺は何故か避けられていた。



理由はわからなかったけど、いや本当は抱きしめられるのが嫌だったからかもしれない。



それから明里さんが熱を出して寝込んだと聞いて彼女の様子を見に向かうと、景時と彼女の話し声が聞こえた。



「景時と話しているんですね。邪魔するのも悪いですし」



俺はそう思い1人、戻ってきた。
しかし胸がもやもやしてすっきりしなかった。



最近は、景時と一緒にいるみたいですし……。
それから明里さんの熱は直ぐに下がったようで安心しました。