「というわけで、今後香苗の前に姿現したら殺す」
「アッ……は、はい」
「あと、オマエ香苗の家住んでたなら鍵持ってんだろ。出せ」



 そのことをうっかり忘れていた。
 自分の愚かさにパッと顔を上げると、新田さんが元彼氏の胸倉を掴み、鍵を受け取っていた。


 するとすぐに新田さんは元彼氏から手を離すと、地面に膝をつくその姿に目もくれず私の背中を押してすっかり茜色の夕日に照らされた公園を後にした。