「連絡してこなかった理由をごちゃごちゃ言ってたけど……そっちが逆に浮気してるの周りから全部聞いて知ってるし、何度か浮気相手と歩いてるの私見てるから」
「はっ……? え?」
「新田さんは私が悩んでる時相談に乗ってくれてたの。身体の関係なんてない。こっちが知らないと思って自分のことを棚に上げて、何言ってるの?」



 彼氏は私が何も知らないと思っていたらしく、顔色が青くなっていく。
 混乱しているんだろう。だけどそんなことは関係ない。



「本当に、今の貴方を見てるとなんであんなに好きだったのか自分でも理解できない。こっちから願い下げだから」
「……なっ」
「別れる。残ってる貴方の荷物は捨てるから」



 彼氏の驚愕した表情を見て胸がスッとした。


 雁字搦めだった日々からやっと解放された気がして、涙が溢れそうだ。
 だけど、コイツに泣いている姿を見られたくなくて静かに俯く。


 すると、私の頭の上に大きな手が乗って、砂利を踏み締める音が響いた。
 新田さんが私を背中に庇うように前に出たからだ。
 同時に元彼氏の引き攣った声が聞こえた。