"警察の人から連絡が来ました。人を殴ったんですって?篠原家の名に傷をつけるような行為はするなとあれほど言ったはずよ。もう帰ってこないでちょうだい。貴方バイトもしてたわよね。するなと言ったのに推しのためやらなんやら言って。そのお金でどうにかなさい。"
母親からだろう。
当たり前だ、あれだけ問題事はもう起こすなと言われてきてこれなのだから。
でもどうしよう、バイトもそこまで沢山のお金を稼げる訳じゃない。
家賃、学費、食費……だめだ、払えるわけが無い。
絶望。
その言葉がこんなに見合う日が来るとは思わなかった。
一旦空を見上げてみる。
月が好きだ。
キラキラしてて優しい光を放ってる。
李月くんの銀髪も、ステージでキラキラ輝くからお月様みたいなんだよなぁ…。
「もう、きっと間近で見られることは無いんだけどね。」
____ぽつぽつと雫が地面を濡らしてく。
空が曇って行く。
まるで私を現しているかのような空は
ひたすらに私を見つめていた。