部署に戻るなり、市村くんが駆け寄ってきた。
「申し訳ありません。どうでした?」
「あっちも手一杯みたいだから、私がやることにした。だいたいのやり方は教えてもらったから、大丈夫。
 なんとか間に合わせる。」
「申し訳ありません。」
「大丈夫。それより、他は大丈夫か、しっかり確認しといて。」
 市村くんの焦った顔を初めてみた。

 夕方になった。
「私、今日は残っていくけど、みんな終わった人から、気にせず帰っていいからね。」
「でも、主任なんか手伝いますよ。」
「大丈夫。たぶん一人でやらないとわけわからなくなりそう。」
「わかりました。主任がやらなきゃいけない仕事とかは?」
「うーん、大丈夫。まだまだ余裕あるから。」
「主任、無理しないでくださいね。」
「任せといて。」

 みんな、順々に退社していった。
 いい子たちばかりだから、挨拶して帰ってくれた。