〜side Noa〜
ージリリリリ。ジリリリリリリ。
けたたましくなっている目覚ましをとめて起き上がると、カーテンの隙間から太陽のするどい光が差し込んでいた。
ドアの奥からフレンチトーストの甘い匂いが漂ってくる。
バタンと勢いよくドアを開けて、我慢しきれずに「いっただっきまーす」とつまみ食いをすると、
「こら、ご飯は座って食べなさいー。」
ってお母さんに注意されちゃった。
「美味しかった!ごちそうさまー」
「あら、ならよかったわ。今日はイースト菌を増やして少しふっくら焼いてみたのよ。」
そんな幸せが溢れた会話がリビングを飛び交う。
弟の亮介も起きてきて、フレンチトーストを頬張っている。
部屋に戻って、高校に入学してから三ヶ月経って、だいぶ着慣れした制服に手をかける。
「よし。」いつもの私の完成だ。
ここまでが朝のルーティーン。