拓『それではみんな。合宿1日目
お疲れ様〜かんぱーい!』
夜ご飯の時間になり大宴会のようになった。
「あの…成瀬君?離れようか」
ずっと私の後ろに引っ付いて離れないのだ。
『成瀬〜大胆すぎだろ〜えまさん困ってるぞ。』
京『お前らみたいなゲスい奴から守ってんの』
「相手は高校生よ?キミ含めてね!
何もないからお友達のところに行きなさい。」
さっきは動揺したが
子供の告白など真に受けたりしない。
軽く成瀬君をあしらい椿先輩の元へ行く。
拓『だいぶ懐かれてるな。』
「犬だと思えばどうって事ないですよ。
って先輩お酒飲んでるんですか?!」
拓『硬いこと言うな〜やすみなんだぞ!』
この人はどこまで自由なんだ。
でも…いいな…こんな疲れた日のお酒はさぞ美味しいだろうな。
いかんいかん合宿中なんだから。
必死に邪心を脱がせた方が振り払い
他の部員の子達と話をする。
『えまさんってなんの仕事してるんですか?』
「英語の塾講師よ。ただ今夏季休暇中。」
拓『お前らちょうどいい!英語教えてもらえよ!』
「は?嫌ですよ!!ただでさえボランティアしてるのにその上タダ働きなんて都合良すぎです。」
普段お金をいただいて教えてる分
こんなところでタダ働きするのは許せなかった。
大体今日だってこんな使われるなら来てないし…
ただタイム量ったり軽い手伝いでいいって聞いてたのに…
『え〜えまさんそこをなんとか
俺英語やばいんですよ!!!』
「いーやっダメよ。学校の先生に聞きなさい。」
拓『しょうがね〜な…
えま様どうかこれで買収させて頂けませんでしょうか』
そう言って差し出されたのは
「こっ…これは…」
私の大好きなお酒に大好物のたこぶつが目の前に…
拓『どうだ?ニヤ』
「しょ…しょうがないわね…早く宿題持ってきなさい。」
『やったぜ〜!』
椿先輩め…これを見込んで用意してたな…
隣を見るとニヤリとした顔でこちらを見ている。
それよりも怖い顔で成瀬君がこちらを見ている。
やっぱり上着変えなかったの怒ってるのかな…
いや着れる訳ないよね!部活前に着てた服
私が着てたらおかしいじゃん!
心の中でそう言い訳をしながら
もう飲まなきゃやってられない!と思い
お酒に逃げた結果…
「違うわよっ!LとRの発音がおかしい!
噛み付くわよ!!」
「英語なんてね!フィーリングよ!感じなさい!」
1時間でヘロヘロに酔っ払いながら
高校生達の英語を見ていた。
「椿先輩〜?どこ〜?」
京『椿ならタバコ吸いに行ったよ』
「え〜もうホントいい加減!!!
君たちもそう思うでしょ?!」
あ〜頭痛くなってきた…
でも残りのお酒だけでも飲みきらなきゃ…
『えまちゃん好きな人とか居ないの?
俺、立候補しちゃおうかな〜♥』
好きな人?彼氏…
カレシ…
「うっ…うえええーーーん
私の何がダメだったのよーーー!!!!」
この数日考えないようにしてた事が
お酒の勢いで溢れ出て止まらない。
「私ほとんど振られたんだよ?!1人で平気でしょって!!だからって浮気しないでよ〜〜泣」
『え…えまさん?』
「ムカついてきた…電話してやろうかな…」
思い出せば出すだけ腹が立つ…
そういえばその後
「そうだ!成瀬京太!!!君もあの日私に水ぶっかけてさ!人生で1番惨めな日だったわ!」
『だからえまさん成瀬の事見て顔ひきつってたのかよ笑』
『俺なら絶対えまちゃんの事大事にするよ♥』
「もう元カレに文句言ってやる!」
ポケットから携帯を取りだし
電話番号から元カレを選び電話をかけようとしたら
成瀬君に携帯を取られてしまった。
「ちょっと…」
京『だ〜め。元カレに電話とか嫉妬しちゃう
はいさーくじょ、これで何もない。』
はいって携帯を渡され自己中の極みすぎて
苛立ちをお酒にぶつけ飲み干した瞬間
私の記憶は途絶えた。