「……なにがあったの? 試験勉強のせいじゃないよね」

隣を歩く佐々木が俺に問いかける。

「なあ」

佐々木の質問に、質問で返す。

「“もう関わるな”って言われたら……どうしたらええの? もう、仲直りでけへんの?」

みっともないと思う。情けないと思う。今までの俺やったら、友達に恋愛相談をするなんてプライドが許さんかったと思う。

それ以前に、恋愛で悩んだりせえへんかったと思う。

それでも今は、なんとかしてこの状況を変えたい。少しでも、なにかあいつと仲直りするヒントが欲しかった。


「……どうしてそんなこと言われたの?」

「俺が」

傷つけたから。それが、全て。

「原因がわかっているなら、謝るしかないよ。だって、仲直り、したいんでしょ?」

「けど……」

高橋は、もう俺と関わりたくないという。

それやのに、俺が一方的に気持ちを押し付けていいんやろうか。

高橋と仲直りしたい。またあの真っ直ぐな笑顔を向けてほしい。

けど、困らせたくもない。俺と関わることでまた嫌な思いをさせたくない。

「どうしたらええんやろ……」

もう、何が正解で何が間違っているのかすら、なにもわからなかった。