夏休み初日。

 部活動未加入で塾にも通っていない私の予定表は案の定真っ白で、唯一の予定は今日の病院だった。

 今日は検査結果を聞く日で、初めは私と父と担当医の3人で話をしていたが、途中で私は退出するように言われた。


 どうせ、もう長くはないとでも言われるのではないか、と薄々勘付いてはいたのだけど、それを受け止めたくはなくてスマホで小説を読んで時間を潰していた。

 時間潰しに読書は最適だが、病を患って以来、バッドエンドの小説を避けているため、前よりは退屈に感じるようになった。
 
 念のため、事前に内容を調べてから本を選ぶようになったことで、かつてよりは読書を作業としてこなすようになった。

 結末を知った小説に面白みを感じながら読め、というのはあまりにも酷だ。


 それゆえ、活字の羅列に目を通し、淡々と読み進めていく。

 もはや感情移入をしながら読むとは程遠い世界に足を進めているようだった。