ライナ王国の人たちは、レイリア王国への立ち入りを禁止されていたと。
 もしそれを破ってしまった者は……公開処刑されると聞いたことがある。

「僕はライナ王国で生まれて、ライナ王国で育ちました。僕が生まれた頃は、その分断もあまりなくなり平和な感じになっていましたが……。今もその風習は、所々残っている時があります」

 カルナさんはそう言うと、わたしに「……すみません、せっかくのデートなのにこんな話をしてしまって」と笑った。

「いえ、話してくれてありがとうございます。……わたしもカルナさんのこと、もっと知りたいと思っているので」

 と話すと、カルナさんは「それは嬉しいお言葉です。ありがとうございます、カルティナ姫」と笑ってくれた。

「姫、お腹空きませんか?」

「……確かに。空いてきますね」

「では、あちらで美味しい物を食べましょう」

「はい」
 
 わたしたちは、美味しそうな食べ物がズラリと並ぶ市場の方へと向かった。

「うわ、すみません……」

「姫、危ないので僕の服を掴んでいてください」

 カルナさんは人混みの中で、わたしを優しくリードしてくれる。