タタタタタッ!!!

シュタッ、ザッ。



「待てや!!このアホんだらがァ!!」



………あ、終わった。

たぶん見つかってるパターン…?



「チッ、どこ行きやがったガキ共…!!」



あれ……遠のいてゆく。

それに私を追ってきてたヤーさんじゃない声だし、誰かさんも追っ手から逃げてるみたいだ。



「とりあえずは撒いたみたいっすね」


「いや、まだ周りを見張ってる可能性が高いよ。任務成功ではあるけど、僕たちの縄張りは探られないようにして」


「はい!」



ずっと膝を丸めて顔を埋めていたから知らなかった。

まさか私のすぐ近くに新たな誰かが来ていることなんて。


爽やかな若い男の声が聞こえて、思わずスッと顔をあげてみる。


厚手をした大きめのパーカーはフードを被って、黒のミリタリーパンツはおしゃれにブーツイン。

鼻から首まで隠してしまうフェイスマスクのおかげで、お顔はよく見えない。



「───…あ、……月、」



青い光が、その男の背中に見えた。

このビルと雑踏だらけの街にも月が見えるんだと。