「ミオ、ごめん。からだ起こそっか」


「う、うん」



そっと抱きかかえてくれる。

流れるまま身体を起こすと、さっちゃんは私をまた膝の上に乗せるようにして抱きしめた。



「α9は、僕と侑李と睦月。この3人で作った……観羅伎町のお助けマン」



やっぱり颯が言っていたとおり、立ち上げメンバーはこの3人。

最初は小さな小さな親切から積み上げて街の信頼を上げていったって。



「でも…あるとき、ヤクザを敵に回すくらいのね、人助けをしたんだよ僕たちα9は」


「…それが、」


「そう、藪島組」



まだ私くらいの歳のさっちゃんと侑李と、私より年下の睦月。

もしかすると蘭さんも居たのかな…。

それでヤクザを敵に回すなんて…。



「侑李の意見が正しかった。確かにすごく危ないことで、誰かが命を落とす可能性の方が高かった。
侑李は何度も止めて、睦月の心配をずっとしてたんだ。

でも僕は、睦月なら大丈夫なんじゃないかって……過信してた」



だけどそれが、取り返しのつかない仇(あだ)になった───。

そう言ってぎゅっと私を腕の中に閉じ込めた、鹿野 皐月。



「…自ら身代わりにね、なったんだよ。睦月は」


「…だれ…の…?」


「そのとき藪島組に人質として捕らわれてた……13歳の女の子」