「何、言ってるの?」

困惑したまま緒方君を見上げる。

「何もおかしなことは言ってないだろ。
 好きだから付き合ってほしい。それだけだ」

「けど私、緒方君と話したの今日が初めてで……」

「そうだな。けど俺はお前をよく知ってる」

「え?」

緒方君が、私のことを?

けど今まで接点なんてなかったはず。

「森崎からよく聞いてたんだ」

「森崎君が、私のことを?」

「あぁ。最初は聞くの面倒だとしか思ってなかったんだが、だんだん気になってきてさ。お前のこと目で追っているうちに好きになってた。そしたら同じクラスになっただろ?チャンスだと思って呼び出したんだよ」


生まれてこのかたぶつけられたことのない真っ直ぐな好意に、自然と顔が熱くなる。

それに、ついこの間森崎君に告白した身としては、緒方君の心情が他人事とは思えなかった。




けど。