「そういえば家同じ方面なんだね」

「ん?あぁ、そうだな」

「小中は違う学校だったよね?」

「おう。微妙に校区ズレてるんだろうな」

「ふーん。あ!じゃあさ、子供の頃ペンギン公園で遊んだ?」

「ペンギン公園?」

「んー、ペンギンの像がいっぱい建った幼児用プールのある公園なんだけど」

「...あぁ、あそこか。行った行った。俺ほとんど砂場で山作ってたけど」

「あれ?砂場あったっけ」

「ほら、ブランコの前に砂が大量に敷いてあっただろ」

「……それ砂場じゃなくてブランコから落ちても大丈夫なように敷いてあるやつじゃないの?ていうか、そこで遊ぶの危なくない?ブランコ当たりそう」

「そういや何回か当たりかけてひやっとしたな。それも込みで遊んでたわ」

「子供特有の恐れ知らず怖い…」

「今思うと、よく怪我しなかったなと思う」

「ほんとだよ」


やっと共通の話題が見つけられた。

気まずい一問一答形式から脱却できて、内心胸をなでおろす。


「……お前ってさ、」


次の話題はどうしようと考えていると話しかけられた。

反射的に緒方君の方を向いたけど、彼は前を向いたままで視線は交わらない。