「ちょっと、汗かいてるから」

「気にしねぇ。...うん、熱中症の類じゃねぇな」

「ちょっと休憩してただけ。それに室内だから大丈夫だよ」

「いつの時代の理論だよそれ。今どきクーラーで冷えた部屋でも熱中症になるんだぞ。充分ありえる」

「え...そうなの?」

「お前、保健の成績大丈夫か...?」


さっきからずっと呆れた顔ばかりされている気がする。

そもそも、森崎くんがいないんだからさっさと帰ればいいのに、なんでこの人居座ってるんだろ。



「つかお前、練習しすぎ」

「え?」


しゃがんでいた状態からあぐらに座り直した緒方くんは、少なからずすぐに帰る気は無さそうだ。


「体育の授業で手一杯の人間が、放課後バスケなんて毎日出来るわけないだろう。適度に断れ」

「断れって言われても...断る理由がないし」


(クラス練習終わった後は森崎くんといられるし)


本音は流石に口に出して言えなかった。


「家の用事があるとかいくらでもでっち上げればいいだろ。いいから疲れたら休め」

「え、嫌だよ」

「なんでだ」

「まだ大丈夫だから」


そもそもなんで緒方くんに指示されなきゃいけないんだろ。

私この前のこと許すつもりは無いし、仲良くする気なんかもっとないんだけど。