立ち上がろうとしたけれど、勢いよく体を起こしたせいか立ちくらみがして思わずその場で固まる。

視界が黒い。


「森崎くんなら、用事があるってさっき帰ったけど」

「...あー、そういや今日か。入れ違いかよ」


視界が戻ってきたと思ったら、目の前に緒方くんがいて驚いた。

座ったまま立っている緒方くんを見上げると、困ったような顔をして首を摩っている。

立ちくらみも治ったから今度こそ立とうとすると、何故か緒方くんに止められた。



「おい、まだ立つな」

「なんで?」

「お前体調悪いんだろ。大人しくもうちょい座ってろ」

「え...なんでわかったの」

「さっき焦点合ってなかったから。つか、元気な人間は体育館で1人横になったりしないだろ」

「...1人だから体育館を贅沢に使っちゃおうと思って」

「はいはい、下手な言い訳はいらねぇ」


呆れたようにため息をつくと、緒方くんはしゃがみこんで私の額を触ってきた。