「ゲー、ム?」

緒方君が何を言っているのかわからない。

「そう、ゲーム。森崎にフラれて傷付いた女が、もし告白されたらどうするのかって単純明快なゲームだよ」

何、それ。

「今まで全勝だったのになぁ。有馬は初めてのルート選択だったから、ご褒美に種明かししてあげる」

ゲーム?ルート?

この人、人の心を何だと思ってるの。


「…今まで騙してた子は?どうしたの」

「普通に付き合って普通に別れたけど」

「好きだったの?」

「全然?」


目の前で笑う人が、同じ人間だとは思えなくなる。


「……ひどい!」

「ひどいって、心外だなぁ」

「だって、いろんな人の心を弄んで嗤ってたんでしょ?!最低だよ!」

「どこが最低なんだよ?」


緒方君は悪意なんて一ミリも感じさせない顔でニコニコと笑っている。

おかしいのは緒方君のはずなのに、あまりに邪気のない様子が幼稚園児に質問されているようで頭が痛くなった。