次の日、いつも通りに仕事終え
いつもの時間、いつもの道を歩く。
そしていつも通り彼らの倉庫に着いた。

倉庫に着いて、いつもと違ったのは
ソファに居るのが優ではなく
爽だと言うこと。
そして、私の気持ち。

「待たせちゃた?」
「いや、大丈夫」相変わらず素っ気ない爽。
私は向かい合わせのソファに腰を下ろす。

「...あのね、話したい事って言うのがね、」と
私が話し始めようとすると
「ごめんな。」と爽が話し始める。

「俺、もうお前とは一緒にはいられない」

なんとなく分かっていたし
私自身もそうしようと思っていた事だが
爽から改めて言われるとショックだった。

「...そうだよね。」

「別にお前のことが嫌いだとか
そう言うんじゃなくて
むしろ好き、、なんだと思うんだけど。」

「えっ?」

まさかこのタイミングで爽から好きと
言われると思ってなかった私は驚いた。

「けど、俺じゃダメなんだ。」

「...どういうこと?」

「最初は優がお前と話してるのを
遠くから眺めてたんだ。
最初はただ見てるだけだったんだけど
楽しそうに笑うお前の顔をみて
その顔を俺に向けて欲しいと
思うようになった。

初めてお前を抱いた時、
お前のこんな顔を見れるのは
俺だけなんだと優越感を感じた。

今まで何人も女を抱いてきたけど
そんな気持ちになったのはお前が初めてで
この気持ちが何なのかわからなかった。」

「そっから毎週会うようになったけど
優と居る時の笑った顔は
一度も俺に向けられた事はなかった。

その笑った顔が見られるのならと
毎回優を呼んで、先にここに居させたり
お前のこと送るのも頼んだりしてた。

それでも俺にその顔向けて欲しいって
気持ちが日に日に
大きくなってるのを感じてた。
けど、抱いてるときのお前を見れるのは
俺だけなんだとそれで満足してた。

それがあの日、優にも俺にしか見せない
はずだった顔を見せてて
ようやく俺はお前のことが
好きなんだってことに気づいた。
けどそれと同時に俺じゃお前を幸せには
出来ないんだとも思った。

だからお前に嫌われるように
あんなことしたんだ。ごめんな。」

爽が私の事をそんな風に思ってくれて
いたなんて思いもしなくて驚いた。
けど、やっぱり今まで通りに
爽とは居られないと思った。

「ううん。私の方こそごめんね。
私も今日は爽とお別れするつもりで来たの。」

「あぁ。もう俺のことは忘れろ。
お前は優と一緒にいるのが1番だ。
だからもうここには来るな。」

「...ありがとう。爽。好きだったよ。」

そう言って私は倉庫を後にした。