金曜日。
いつも通り倉庫に向かっていた私は
途中で一人の男に声をかけられた。
｢ねえねえ、どこいくのー？
せっかくの週末に1人なの？
それなら俺とご飯でも行こうよー」
無視して通り過ぎようとしたが
あまりにもしつこかったので
｢この後用事があるので無理です！」と
振り向くと腕を掴まれ路地に連れて
行かれそうになった。｢やめて！はなして！」
と抵抗するが力では到底敵わない。

やばい。と思った瞬間、
後ろから誰かに抱きしめられた。
振り返るとそれは優だった。
｢おにーさん、これ、俺のなんで。」と
男に言い放ち私の肩を抱いてその場から
連れ出してくれた。

倉庫に着き、気が緩んだのか
気付くと涙が出ていた。
｢え、大丈夫か？」と焦っている優に
思わず抱きついて｢怖かった。」と言うと
優は黙ったまま抱きしめてくれた。

少し落ち着いたのでお礼を言おうと
顔を上げると、優の顔があんまり優しい顔で
こっちを見ていたので思わずドキッとしてしまった。
その時ガラッとドアが開く音がした。
抱き合う私たちと目が合うと
爽は何も言わずに倉庫から出て行ってしまった。

追いかけようとしたが、
優に｢今は行かない方が良いと思う。
後で俺からちゃんと説明しとくから、
今日はとりあえず送って行く」と言われ
家まで送ってもらった。

優から説明すると言っていたが
私からもちゃんと説明しておこうと
メールで今日の出来事を説明した。
3時間経ってようやく来た返信には
｢あっそ。もう倉庫に来るのやめろよ」
と書いてあった。
私はきちんと会って話さないとダメだと
思い、電話をしたが繋がらなかったので
｢来週、倉庫で待ってる」と返信したが
それ以上爽からの返信はなかった。