次に目覚めた時は山の中

小さな女の子の体で目覚めました
小さな体では大切な人を守ることができません。少し大人になろうと変化しました。

18歳くらいの年頃の女の子になりました。


そんな時、何人かの男に声をかけられました。


お花が家のない子だと知ると、
男たちは、花の手足を縛り、目隠しをして
1人の家に連れていきました。


そこでお花は、男たちに体を触られ、
気持ち悪い感じを我慢しきれず、
舌噛みちぎってもう一度消えてしまおうと思いました。


舌を噛みちぎると眩い光で溢れ、
もう一度真っ暗な中に帰っていきました。



あぁ人間はほんとに素敵な生き物なのかな。


川に流され、殴り殺され、知らない男に体をまさぐられ。


傷が直ぐに治るお花の心はボロボロでした。
心の傷は治らないのです。


そして、何度か人間の世界に行きました。


しかし、何度も殺され、自殺し、
真っ暗な世界に帰っていきました。


人間が好きだった女の子が
人間が好きなのかもわからなくなり、
人間の優しさを信じられなくなりました。


できるだけ人間を避け、
出会ってしまったら笑顔で何事もなく過ごせることを祈りました。


昔のお花という名前ももう好きではなくなり
ひとりぼっちの女の子になりました。
初めて夢を見ました。


誰かが私を呼んでいる
優しい声が沢山呼んでくれる。


みんなで笑って、みんなでご飯を食べて、
とても幸せな夢でした。


呼ばれている私は成長していて、
お姉さんになっていました。


そんな幸せな時間を過ごせる日が来るのかな
人間と仲良くなれるのかな


大切にしてくれる人はいるのかな。


目が覚めると光が刺し、
また人間の世界へ行く時が来たようです。




これは小さな女の子が成長していくお話




目が覚めると小さなお社にいました。


初めに人間の世界に降りた時のように、
遠くで子供たちの遊ぶ声が聞こえます。


また来てしまったと悲しみ
誰にも会いたくないと怯えていました。


お日様を眺めながらぼーっとしていると
夜になり、そんな日を何日かすごしていたある日のことです。


「お姉ちゃん!なにしてるの?」

小さな男の子が声をかけてきました
真っ直ぐでキラキラした目に驚きました。


『何もしてないよ。ここにいるだけ』


夏の暑い日楽しそうに走ってきた男の子
女の子のすぐ側に行き


「一緒に遊ぼ!みんなと鬼ごっこしてるの」


『ごめんね、私はいいや』


寂しそうな顔をして、
そっかー。と男の子は言いました。



その男の子は毎日1人で会いに来ました

会いに来る度沢山お話をして、
またあしたー!と帰っていくのです。


私が人に会いたくないのがわかるのか
いつも夕暮れ時に1人で会いに来ます。


「お姉ちゃんはいつも太陽を眺めてるね
お空に何かあるの?」


『お空に家族がいたの。ずっと昔にね』


男の子はコテっと顔を傾け不思議そうな顔をしながら、そうなんだねー


女の子はこの男の子と話すのは嫌ではありませんでした。

ですが仲良くなりたいとも思えません。


「お姉ちゃんは天女さまなんだね
すごく綺麗で可愛い」


そんな言葉に胸を打たれた女の子
人間が好きだという昔の感情でもなく、
嫌悪感でもない初めての気持ちに戸惑いました。


またねー!と去って行く男の子は走って帰る途中に振り返り、


「お姉ちゃん、
明日俺の大好きな人つれててもいい?
お姉ちゃんもきっと好きになるよ」


その男の子の言葉に少し迷いましたが、
コクリと頷きました。


男の子side.


ある日見つけた女の子は
俺が今まで見たどの女の子よりも綺麗だった


お母さんもだいぶ別嬪だったが、
人間とは思えないくらい綺麗で、
隣に座るだけで花のようないい香りがした


女の子によく声をかけられるけど
自分から話しかけるのは初めてで、
本当に天女さまかと思った。


白い肌に長い黒髪、大きな目は綺麗な二重で
瞳は深い青色のような黒のような不思議な色をしていた。


これがいわゆる一目惚れか!
と俺の中でなにか妙に納得してしまった。


人に会うのが好きではないという彼女の元へ毎日おしかけ、お話をして帰る


それが日課になっていた。


そして、俺の一番大好きな人とも仲良くなって欲しいと思い、連れて来る約束もとりつけた!

きっとみんなで仲良くなれると思うんだ。


end
暑さがジリジリと肌を焼く感覚を感じる
真夏に子ども達は楽しそうに走っています。

そんな子供たちをぼんやり見つめながら
ぼーっとしているといつものように
男の子の声が聞こえます。


「ねぇねぇ!はやく!
天女様がいるんだって!!」


誰かを連れてくると言っていたなあと思い
そちらに目を向けると、

いつもの男の子と、もう1人少し体格のいい同じくらいの都市の男の子がいました。


「お姉ちゃん!つれてきたよ!!」


私が呼んだ訳でもないのに
得意げに話しかけてくる男の子

女の子のように綺麗な顔をしている
その瞳はキラキラ輝いていました。


「これは、ほんとに、天女様だな。」


いつもの男の子はこれまた得意げ


「この人は勇さん!とーっても強いんだ」


「近藤勇です。よろしく!君名前は?」


名前かー。と考えていると
いつもの男の子の名前を知らないことに気がついた。

あんなに沢山話したけど2人ともそんなことは気にもならなくて2人とも名前を知らない

男の子のことを見つめていると


「俺は、土方歳三!お姉ちゃんは?」


『名前はないよ』


2人とも首を傾げ、見つめてくる


『私、名前ないの。』


うーん。と悩みそうだなあと二人で相談中



空を見上げ眩しい太陽とにらめっこをしていた時、


「あ!決めた!向日葵でいいじゃん」


ひまわり?なんだろうそれ
と首を傾げていると、それ!と指さしてきた

そこには大きな黄色い花が咲いていました。


『お花の名前?』


「そうだよ!いつもお空ばっかり
見てるから向日葵と一緒だって思って」


話を聞くとこの花は太陽を見つめながら
咲いているという


「素敵な名前だね!ひまわりにしようよ」


何だか、悪くない気持ちになりました。
昔感じたポカポカをまた感じることが出来て


『うん。向日葵でいいよ』


その日から2人はよく遊びに来るようになりました。