「ごめん、間に合わなくて」
「え?」
なんでそんなに苦しそうな顔をするの?
「だって、触られてた、また怖い想いさせた」
また?って、どういうこと?
え、
そういえば昔にもこんなことあった気がする。
なんだっけ、
たしか知らない男の子にたす、けて……
『俺も中2、月原「海くん、」
昔、遊園地で助けてくれた男の子って、
そうだ。同い年で目指してる高校も一緒の男の子が、
「月原君だったの、?」
あの時、助けてくれたのは、
「桜、咲いたね。」
ぇ、『桜咲くといいですね。』
「思い出してくれた?」
私の表情から読み取ったのか、そう聞いてくる月原君。
なぜか喉の奥が詰まった感覚になり、目が潤んだ。
「ずっと、あの日から好きだったよ。」
その言葉で、目からポロポロと涙が溢れ出した。訳もわからなく悲しくなった。
それくらい月原君の瞳が嬉しそうに、切なく哀しげに揺れたんだ。