「なぁ、千紗永遠ってあると思う？」
あの日。部活帰りで夜遅くなった高校一年生の健斗は私に妙な質問をしてきた。
「永遠？どうしたの急に？」
「いや、なんでもない。ごめん。」
健斗は私になんて言って欲しかったのだろう。
その時の健斗は珍しく悲しげな表情をしていた。
瞳の奥がきらりと輝いていたのは、月明かりのせいなのか、それともあれは涙だったのか。
あの時私はどうして何も聞いてあげなかったんだろう。
「あ！流れ星…！！また流れたよ！」
そう、あの日は流星群だった。
さらにいっぱいに星がながている。
私は確か
ーお小遣いが増えますようにー
と心の中で3回唱えたのだ。
当然一つの流れ星が流れ終わるまでに言えているわけではない。
ただ当時高校1年生の私は流れている間なら有効だと信じていた。
「ねぇ、健斗はなんてお願いしたの？」
健斗はじっと見つめる私に背を向けていった
「内緒。言ったら叶わなくなるかもしれないから。」
「ケチ。言っても言わなくても変わらないよ。」
「だったら流れ星に願おうが願わなかろうが何も変わらねぇーよ。」
健斗はその時私の方を振り返って、そんな言葉をぶつけてきた。
いつもの痴話喧嘩、私はそう思っていた。
「はいはい。分かりましたよ。」
だから、私はそう流してしまった。
彼の表情なんてちゃんと見ようともせずに。
そして、次の日、健斗は、健斗の家族は突然私の前から姿をくらました。