「相手は小さい頃から私が一方的に大好きな女の子。最初は頭沸いたのかと思ったけど,本当で,今も付き合ってる」



どちらも,愛深にとって大事なんだって。

懐かしそうに細められた目が語っていた。

なのに,時々寂しそうですらない,他者を傍観するような色に変わる。

自分は関係ないからと一歩置いたような生き方は,今に始まったことじゃないんだと分かった。



『そうしてバランスとっていくと,友達とも仲良いままで,心がほんの少し離れるのを何度も感じて。誰の一番にも私はなれないことを知る』



いつか,愛深が俺にだけ見せた寂しさ。

愛深の言うバランスが,傷つかないようための自衛として取る距離の事だったんだと。

それが矛盾のように寂しさを生んでいることを。

どうにもしてあげられないのに,せめて理解してあげたいと思ってしまう。