連れて行ったのは校舎裏。
         
初めて来たけど,悪い場所ではない。

始めてきたのは愛深も同じようで,けれど余計なことを考えてそうな顔できょろきょろとしていた。           
            
俺の存在を忘れたように何かを考えながら,じめじめとした空気に撫でられている愛深。

           
        
              
「あのさ」          
          

          
そんな愛深を一々待ってられなくて,俺は口を開く。
             
             
             
「うん」
           
            
          
なんて,愛深はありきたりで警戒心の無い返事をした。