「……弘」

「ん? なに,唯兎」
           
「はぁ,何でもない」    
             
             
              
分かってんでしょ,周り見なよ。

届いた上で,かわされる。

からかうように笑う弘を前に,俺は諦めることにした。

そんなことばっかりしてて,どうなっても知らないから。

異性人気のそこそこある弘。

それに,俺も見ていて気持ちの良いものじゃない。
              
何が悲しくて男女が至近距離でイチャついてんの見なきゃなんないの。  

           
              
「あっ。愛深ってさ,俺達の隣の市に住んでたよね。今度そこに住んでる友達と,なんかちっちゃい祭り? かなんかに寄るかもなんだけど,知ってる?」