放課後になると,予定通りに2人が揃って教室を出ていく。

その様子に,俺はなんとも言えない感情になって立ちすくんでしまった。



「いいのか? このまま俺たちと帰っても」



弘が俺を覗き込み,尋ねる。



「別に」



彼氏がいても関係ない。

もっと純粋な慧は,そんな気を起こせるような人間じゃない。

だから,すぐ諦めるだろう。

……だから,慧が愛深への気持ちを自覚しても,何もおかしくはない。

その夜。

俺は愛深とのメッセージ画面を開いて眺めながら,小さな葛藤を繰り返した。

結局。



「あほらし。こんなことで一々連絡して何になるんだって」



何をするまでもなく,その画面を閉じ,俺はスマホをベッドに放った。

嫌な予感は,翌日現実となった。