「あー、、意味不明なんだけど、キスだけで怒るとか、今日なにするつもりだったの?」
「こっちが意味わかんないよ、わたしはブレザー取りに来ただけなのにっ」
「……ん?」
ん? じゃないよ。
ピンときていないのか、目を瞬く新谷くんを前に、ありえない…ありえない…と心のなかが何度も暴れる。
「俺を電話で呼び出したのって、きみじゃない?」
…電話?
なにそれ。
もしかして……新谷くん、相手間違えてる?
「わたしじゃない。ていうか、約束相手の顔もわからないってどうなの!?」
「うわ、言うね、きみ」
「………さいあく」
高校生まで純潔を守りつづけてきたわたしの唇を……。
今日は珍しく、6限目の体育でバレーボールのサーブを先生に褒められたからいい気分だったのに……台無しだ。
朝からいやな予感はしたんだ、占いは最下位だったし。もっとちゃんと見とくんだった、ラッキーカラーとか。
「とりあえず、ごめんね。まぁ、勘違いさせるようなことしたきみにも、問題あると思うけど」
どうでもよさそうにあくびをされ、思わず新谷くんを二度見する。
…なんなの、この人。
失礼すぎる、ていうか、失礼通り越して最低すぎる。
とりあえず、ごめんねってなに!?