ーーーー新谷くんが好きなの。



それを聞いたとたん、ほんとに心臓が止まるんじゃないかと思った。

俺のなかでは、それくらいありえなくて。


今、沙葉が俺のそばにいるのも、夢なんじゃねーのって、半分、思うくらいだ。




最初は単なる興味心でかまってただけ。

俺のこときらいって堂々と言ってきて、そのくせ隙だらけで。

表情がころころ変わるのが面白くて、笑ったらすげー可愛い。

基本、俺には冷たいのに、たまに妙に優しくて。

意外と核心ついてきたり。



どうしていいかわからず、半ばどうでもいいようにズルズル続けていた女関係も、沙葉に嫌われたくないから、やめた。

ずっとわからなかった彼方との距離感も、沙葉が教えてくれた。



『雨よりは好きだよ、新谷くんのこと』



俺の脳内占領しといて、さらに戸惑わせてくる。

俺からしたら、沙葉の方がめちゃくちゃだし、小悪魔。