「それに、ちゃんと本心言い合ったら、たぶん、ふたりは大丈夫な気がする」

「え?」

「頑張れ!」



最後に謎発言とにやにやガッツポーズまでされて、少し戸惑ってしまうなかで、サナちゃんが反対方向に歩いていく。






…行っちゃった。

もうほんとに、逃げられない。
わたしが渡すしか選択肢がない。


そもそも、まだ教室にいるのかな。



ちまちまと歩いていた距離もあと数メートルで終わってしまう。


1組のプレートが見えた瞬間、わたしは腹をくくることにした。




そっと覗いた隙間で新谷くんが机の上で突っ伏して寝ているのがわかる。

見慣れた光景だけど、確かに、まだ、そこにいた。