どうせ、わたしとは話したくないだろうから、その方がいい。
手をすり合わせて頼んでみるけど、サナちゃんは少しふくれた顔をする。
「それでいいの?」
「え?」
「最近、全然元気ないよね。新谷くんが原因でしょ。このまま話さなくて、ほんとにいいの?」
「…………やだよ」
話したいよ。
ほんとは、彼方くんと笑ってる時だって、わたしも混ざって新谷くんの笑顔見たいし、おはようって声もかけたい。
「じゃあ話してきなよ」
「サナちゃん…」
「私は先帰るから、それは沙葉が渡しな」
そう言って、クッキーは突き返される。