「えっ、わたしがですか?」

「うん、あと、1組の教室の教卓の上に健康観察簿があると思うから、それも持ってきてくれるかな」

「……」



数秒間悩んだけど、断る言い訳が思いつかなくて、わかりましたと言ってしまった。






どうしよう。

忘れ物のクッキーを渡すだけだけど、どんな顔して話せばいいんだろう。



「いこ、沙葉」

「……あ、えっと、もう一回、教室戻らないと」



職員室の前で待ってくれていたサナちゃんに事情を説明する。



「あのさ、これ、サナちゃんが新谷くんに渡してくれない?」