それからはしっかり集中して、綺麗に型取った生地をオーブンの中に入れることができた。



「みんな、お疲れ様!あとは焼き上がりを待つだけね。完成したら何個か食べるけど、ぜんぶは食べきれないと思うから、持って帰って家族のみんなと分けたりしてねー」



たしかに、全部は食べきれない。

帰ったら、お父さんと由都にもあげよう。





できあがったクッキーはおいしかった。

サナちゃんとも一緒に食べて、たくさん話して、今日は新谷くんのこと、あまり考えずに済むかも、そう思っていたのに。



陽が傾いた放課後、昨日、熱が出て提出できなかった宿題を職員室に持っていくと、担任の先生がいなくて。


「あ、1組の生徒?」

「はい」


家庭科の先生に話しかけられた。