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新谷くんと話さなくなってから1週間。
そろそろ慣れてきてもいいのに、余計に気になってしまうわたし。
手を振る女の子たちには反応しなくなったけど、彼方くんとは普通に笑って話してるし、新谷くんはいたって平常モード。
わたしばっかり悩んでるみたい。
「ーー可愛川さん……えのかわさんっ」
「はいっ…」
ハッとして見上げると、先生の眉が山のように盛り上がっていた。
やばい、実習中だった。
「これからクッキーを作るのよ、それじゃあまるで餃子の皮じゃない」
先生の言うとおりだ。手元の生地はこれでもかってくらい薄くなっていて、とてもじゃないけど、これじゃクッキーは作れない。
わたしは、すみませんと謝り、もう一度、生地をこね直しながら朝の占いを思い出す。
『今日の蟹座のランキングは5位!
ラッキーカラーは緑だよー
いつも言えない本音を思いきってぶつけてみると、いいことあるかも!?』
5位ってまあまあいいかと思ってたのに、先生に怒られてしまった。
はぁ、ちゃんとしよう。