「え?」
「オオカミやめたの」
これは結構、衝撃発言だ。
廊下で堂々と壁ドンまでしていた新谷くんの口からオオカミやめた、つまり女遊びをやめたなんて言葉が飛び出るなんて。
「…熱でもあるの?」
「ねーわ」
「だって、オオカミといえば新谷くんだよ?新谷くんといえばオオカミじゃんっ」
「うん、マジでなに言ってんの?」
「いっつも女の子の波に吸い込まれるように寄っていく新谷くんが、オオカミやめたなんて」
「べつに、なんかつまんなくなった」
「…ふーん、そういうものなんだ」
「ん、そーいうもの」
強引に納得しろ、と言いたげな目線を感じる。
でもだって、びっくりなんだもん。
つまんなくなったって理由も、なんかしっくりこないし。
わたしが経験ないからわかんないだけで、飽きがきてやめるものなんだろうか。
「じゃあ、オオカミやめて、1人の子と付き合うの?」
「…さーね」
「なにその微妙な反応。
ま、恋の相談なら任せてよ!」