「それにしても、新谷くんがわたしの心配してくれるなんてねー。明日は雪でも降るかもねー」

「おい」

「だって新谷くん、いっつも、どーでもいいですよーってかんじじゃん」



俺の知らんとこで勝手にやってくれってかんじ。それこそまさに新谷くん。

なのに、わたしの心配までしてくれちゃってさ。




「俺だって心配くらいするわ、ほんと、俺のことなんだと思って」

「だから」

「あーはいはい、性格ねじ曲がってていじわるでオオカミな」

「うわ、ぜんぶ覚えたの?」

「まーな」



無駄口を叩き合いながらいつのまにか足取りが遅くなっていることに気づく。
それなのにいつもより時間の流れが早い気がするのは気のせいかな…。



「性格と意地が悪いのは認めるけど、俺、オオカミはやめたから」


家の近くのコンビニまで来てしまったところで、新谷くんがゆっくりと言葉を落とした。