「きりーつ、さよーなら」

「「さよーなら」」



結局、新谷くんとは朝からひと言も話してない。噂のせいで周りからの視線もささるなか、結構疲れた1日が終礼で終わりを告げる。

トイレや移動教室の時はサナちゃんがそばにいてくれたし、なにか言われそうな時はすぐに駆け寄ってきてくれたから、女子に囲まれるようなことはなかった。

ひとまず1日が無事に終わったから安心だ。

そう思いながら帰り支度をしていると、ひょいっと後ろから現れたサナちゃん。




「沙葉、私、部活行くけど、沙葉は?」

「わたしはもう帰る」

「おっけー……なんか顔暗いけど、噂とかほんと気にしなくていいからね!」

「ふふっ、うん、大丈夫。サナちゃんこそ、悪口が飛んでくるたびに女子たちずっと睨んで
目痛くなったでしょ?ちゃんと帰ったら休めるんだよ」

「はいはい、おかーさんか」



じゃーね、と手を振るサナちゃんにわたしも振りかえす。

いつも全力で味方をしてくれるサナちゃんはほんとにとってもいい子なのだ。