押さえていた手が跳ねのけられ、バランスを失う。
腕組みをしてわたしを見据えるサナちゃんを横目に、もうだめだ……と観念することにした。
「じ、実は…、2年生になる少し前に、新谷くんと偶然会って───」
どんどん眉間に線が増えていくサナちゃんに、出会った時のことをぜんぶ打ち明けた。
「……だから、沙葉は新谷くんに敵意むき出しだったの?」
「…うん、まぁ、そうだね」
「待って。ていうか、意味わかんないんだけど……つまり、新谷くんを誘った女子と勘違いされて、キスされたってこと…?」
「そうなの! ありえなくない!?」
「ありえないよ! よくも沙葉のファーストキスを…っ」
懲らしめに行ってやるわ、と袖をまくりだすサナちゃん。