この際だから気になっていたことを聞いてみようと思い口に出すと、とたんに彼方くんの目が泳いだ。
「な、なんで…」
「実は、見ちゃったんだ。遊園地で、彼方くんが苗村さんを助けてたの。その時、もしかしてって思って」
8割くらい、そのもしかしては当たってるんじゃないかと思っていた。
そして、こうして戸惑っている彼方くんを見ると、やっぱり間違いじゃないみたいだ。
「…………無理、なんだ」
「え?」
「志穂は俺のこと、好きじゃないから」
まるで、もう諦めているとでもいうように、悲しそうに笑う彼方くん。
…そうかな。
お互いがお互いを必要としてるような、あの時のふたりは、そういう両想いなんじゃないかと感じたのに、ちがうのかな。
それとも苗村さんは、ほかに好きな人がいるのかな。