……怒りたいのは、わたしなんだけどね?
「そもそも、旭くんが好きなのに、なんで優星とまで仲良くしてるわけ!?………あ、」
こっちを睨んでいる渚さんの目力が急に弱まる。
「…あーもう、最悪」
わたしの後ろを見ながら、しまったというような顔をして走り去っていった。
背中によくない予感を感じて振り返る。
「沙葉ちゃん」
「っ…」
案の定そこには、昇降口に入ってきた彼方くんと新谷くんがいた。
「今の話…」
「か、彼方くん」
「………ごめん、沙葉ちゃん、俺…」
あーあ、ほんとにいやになる。
なんでこうなるの。
知られなくてもよかった。彼方くんと気まずくなりたくなかったのに…。
微妙な空気が流れるなか、沈黙を破ったのはサナちゃんだった。
「ちょっと、ふたりで話してきなよ」