それでわたしの脳が人気者のしんたにくんって記憶したんだ。
だって、中学の時に確か同じ苗字の人いたし、その人は『しんたに』だったし。
「あはははっ、おもしろ、しんたにだって…っ」
……彼方くん、そんなに笑わなくてもいいんじゃないかな。
こればっかりは恥ずかしすぎて、目の前の彼方くんの笑い顔を直視できない。
「俺は"あらや"ね、覚えとけよ〜。なんなら、優星って呼んでくれてもいいけど?」
「結構です、これからもずっと"あらや"くんって呼ぶから」
まるでイジリネタを見つけたみたいにニヤニヤしている新谷くんを全力で睨む。
「沙葉ちゃんと優星、仲良しなんだ」
「え?」
仲良しなんて冗談じゃない。
否定しようとしたその時、
「俺と優星は中学からの親友だよ」
彼方くんから告げられた言葉が、ドカンと音を立てて脳内に響いた。