血が滲んでくる。


「先輩!頬!」


「大丈夫だよ。」


絶対大丈夫じゃない、傷が残ったらどうしよう…。私のせいだ…。


「先輩、保健室行きましょう。」


私は先輩が返事をする前に、手を引いて資料室を出た。




──「あらら、切れちゃったのね。」


保健の先生は傷を見て、大丈夫と優しく微笑んだ。


「残るような傷にはならないから安心して。」


「良かった……。」


「早乙女さんは戻ってて大丈夫よ。」


え、でも、…私の責任だし…


「早乙女さん、大丈夫。まだ資料室の整理残ってるからお願いしてもいい?俺もすぐに戻る。」


「…分かり…ました。」


先輩の優しい目を見ると「いいんだよ」と言われているようで、私は申し訳なさを残したまま、先輩の言葉に頷いた。