叶愛の状況を考えたら、俺が叶愛を抱えるのが1番だけど、叶愛は注目を浴びることを絶対に嫌がる。


「私、歩くから大丈夫。」


無理に我慢する叶愛を抱えたい気持ちを抑えて、俺はゆっくりと叶愛の手を引いた。


少し先にベンチを見つけて、そこまで頑張って歩いてから、叶愛をベンチに座らせた。


足が擦れないように、ゆっくりと下駄を脱がす。


赤くなった傷口に、さっきの着付けの時に、足が擦れた時用にと、渡された絆創膏を貼った。


「大丈夫か?」


「う、ん、大丈夫。ありがとう。」


そう言うと、サッと下駄を履いて、歩いてみせる叶愛。


本当に…無理してないか?


そんな叶愛の手を俺は離さないようにと掴んだ。