1人で納得していると、そんな私を見て、文香ちゃんは苦笑いをこぼした。


「叶愛、違うからね。」


「ん?」


「ううん、何でもない。先に乗っていよう。」


「うん。」


2人で指定された席に座ると、文香ちゃんは険しい表情で切り出した。


「それよりさ……どうやってあの冷酷王子を手懐けたの。」


「何もしてない。」


「……叶愛は可愛いもんね。私が男だったら確実に惚れてる。」


文香ちゃんはお世辞を言うのが上手いなぁ…。


「叶愛……大丈夫?怖くない?」


……っっ、怖いよ……。何度も何度も蘇る記憶。
もういっその事消せたらいいのに。


っっ、私はっ、何も…してないの…。


また、同じことが起こってしまったら、今度こそ私の精神は崩れてしまう。