頑張って頑張って目を開く。


画面を眺める私が、恐怖で肩を揺らせば、一ノ瀬くんはそんな私を後ろから抱きしめる。


「怖い?」


「一ノ瀬くんがわたしに見せてるんでしょ」


それに、今平然と抱きしめている。



というか、待って……今映画、危ないシーン………


迫ってきて………


「嫌なら俺に……」


「きゃぁぁぁ」


切り替わった画角の不気味さと霊が襲いかかってきた恐怖に私は一ノ瀬くんの声をかき消すぐらいに叫んで、無意識に自分から一ノ瀬くんにだきついていた。


「こわい…」


何も言わず、ただ硬直している一ノ瀬くん。


一ノ瀬くんに抱きついているから、一ノ瀬くんの鼓動が近くで聞こえる。


多分、通常よりも速い……


「一ノ瀬くん?」


顔を上げて、その顔を覗いてみると…一ノ瀬くんの顔は真っ赤に染まっていた。