15 (付き合ってるみたいな)


1階から、フライパンで何かを作っているような、ジューという音が聞こえて、恐る恐る足を進めていく。


「…叶愛??」


陰に隠れていたのに、一ノ瀬くんは私の気配に気づいて、振り向いた。


え、え、エプロン…してる、…なんだろう。この、心臓をぎゅっと締め付けられる感じ…。


「お、おはよう…ご、ざいます。」


「おはよう。何かあったのか?」


「ううん、何も…」


ただ、朝から心臓に悪かっただけ。


「叶愛。朝ごはん、食べる?」


私に尋ねながら、テーブルにお皿を置いた一ノ瀬くん。


「わ、わぁ、美味しそう……」


テーブルに置かれた、黄色い焦げ色がついたフレンチトーストは甘い匂いで私の鼻腔をくすぐる。